中国のTV、いまだ正男氏の名前出さず 政府は対応苦慮
- 国際
- 2017年2月23日
北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏が殺害された事件で、中国の政府が国内の報道を規制し、慎重な姿勢を続けている。伝統的な友好国でありながら、最近は核・ミサイル問題などで外交の「お荷物」となりつつある北朝鮮との距離感に苦慮しているようだ。
事件から10日目の22日も国営中国中央テレビは正男氏の名前を出さず、「朝鮮籍の男性」との字幕で現地警察の会見の模様を伝えた。
中国政府は事件後、マレーシア政府の発表だけを報じるなどの報道規制を指示。19日には同テレビも現地警察の記者会見を生中継したが、一般紙の報道はきわめて少ない状態が続く。国営新華社通信は14日夜、韓国メディアの報道を伝える形で、実名を入れて正男氏が殺害されたと英語版のみで配信。中国語版は16日にようやく報じた。
とはいえ、規制が行き届かないネットやスマホのサイトで、海外メディアのニュースが大きく報じられており、多くの市民が殺害の裏に北朝鮮政府がいると認識しているのが実態だ。
中国が慎重姿勢を続ける理由について、北朝鮮担当の中国紙記者は「政府も何が起きたかは分かっているが、北朝鮮側がマレーシア政府に抗議を続けている状況で、余計な刺激をしたくないからだ」とみる。外交上、北朝鮮は朝鮮戦争以来の「血の同盟」と言われる伝統的な友好関係に加え、米軍が駐留する韓国との間にある「緩衝地帯」として戦略的な価値がある。
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