夏休みの国内旅行者数4年ぶり減、節約志向が鮮明に JTB見通し 海外伸びるも近場人気
- 政治・経済
- 2024年7月29日
新型コロナウイルスの影響からの回復が進んでいた国内旅行に、物価高騰による実質賃金の低下が影を落としている。旅行大手JTBが実施した今年の夏休み旅行動向見通しの調査では、国内旅行者数が4年ぶりに前年を下回り、節約志向の高まりによるトーンダウンが鮮明になった。
JTBは7月15日~8月31日に実施する1泊以上の旅行について調査。これによると旅行者数は前年比4・1%減の6975万人、旅行消費額は3・2%減の3兆2743億円となった。
海外旅行に先んじて着実に回復しているかにみえた国内旅行が、令和2年以来4年ぶりに減少に転じた。国内旅行者数は4・2%減の6800万人、国内旅行消費額は4・2%減の2兆8560億円の見通し。
海外も含め夏休み旅行に行かない理由は「夏休み期間は混雑する」が30・4%で最多。前年から最も増えたのは2・6ポイント上昇の「家計に余裕がない」の28・2%で、1・4ポイント上昇の「夏休み期間は旅行費用が高い」の17・9%がこれに次いだ。
背景に消費者の苦しい懐事情がある。厚生労働省が公表した5月の毎月勤労統計調査(確報、従業員5人以上)によると、物価変動を考慮した1人当たりの実質賃金は前年同月比1・3%減。マイナスは26カ月連続で過去最長を更新した。
多くの消費者にとって旅行に費用をさく余裕がなくなっている状況は、海外旅行の動向にも反映されている。JTBの調査では、海外旅行者数は前年を超えたが、新型コロナ禍前(令和元年)の6割にも満たない。
クラブツーリズムによると、日本から近い韓国や台湾、ベトナム、通貨が安いトルコなどへの旅行が伸びている。同社の広報担当者は「(お金、時間とも余裕がある層など)海外旅行は行ける層が絞られてきている」と話す。インバウンド(訪日客)需要が空前の活況をみせる一方、日本人向けの旅行ビジネスは曲がり角を迎えつつある。
産経新聞より転用
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