自民から「年内解散」発言相次ぐ 政権逆風で「困難」との見方も
- 政治・経済
- 2020年6月24日
安倍晋三首相が年内の衆院解散・総選挙に踏み切る可能性があるとの発言が、自民党幹部から相次いだ。
新型コロナウイルス対応の迷走や、河井克行前法相らの逮捕で政権が厳しい逆風にさらされる中、求心力を保つ思惑もありそうだ。実際には、コロナ禍で傷ついた経済の立て直しは容易ではなく、政権浮揚の材料も見当たらない。こうした現状を踏まえ、早期解散は困難との見方が強い。
◇盟友甘利氏「秋解散も」
首相の盟友、甘利明自民党税調会長は18日のインタビューで、衆院解散の時期について「秋以降、経済対策と合わせてする可能性はゼロではない」と表明。普段は発言に慎重な同党の森山裕国対委員長も20日、地元の鹿児島市で「今年はひょっとしたら衆院選があるかもしれない」と歩調を合わせた。
これより先、新型コロナに対応する2020年度第2次補正予算成立にめどが立った10日には、首相と麻生太郎副総理兼財務相が首相官邸で約1時間、話し込んだ。麻生氏は首相在任時に「追い込まれ解散」を余儀なくされ、政権を失った苦い経験から、「今秋の解散を進言している」(自民党関係者)とされ、政界に臆測を広げた。
早期解散論の背景には、首相の選択肢が極めて限られることがある。今秋を逃せば、次の機会とされるのは来年1月の通常国会冒頭だが、コロナ第2波に見舞われている恐れもある。来年夏に延期した東京五輪・パラリンピックが近づくにつれ解散はしづらくなり、仮に中止となれば、解散どころか、首相が来年9月までの自民党総裁任期を全うできなくなる可能性もある。
首相自身、含みのある言い方をしている。20日のインターネット番組で、その前夜に麻生氏や甘利氏、菅義偉官房長官と久々の夜の会合に臨んだ際、解散が話題になったか問われ、「きのうはなかった」と否定。同時に「政治家はある種の戦いの中で生きているところがある。解散というのは常に意識している」と語った。
◇「首相不信が充満」
ただ、政権内部から聞こえてくる解散論は、厳しい局面を打開したいとの焦りの裏返しとも取れる。先の通常国会では、政府のコロナ対応に国民の不満が噴出。黒川弘務前東京高検検事長の賭けマージャンでの辞職や、河井前法相夫妻の「政治とカネ」の問題が追い打ちとなり、「安倍1強」と言われた政界の勢力図は様変わりした。政権の原動力となってきた経済は深刻な打撃を受け、得意とされる外交の重要課題も手詰まりに近い。
このため、自民党関係者は「解散風を吹かせて求心力を高めているだけだ。安倍政権では解散できない」と突き放す。別の関係者も「夏に地元活動をしっかりしろということだ」と語り、あくまで党内の引き締めとの見方を示す。
ある自民党中堅議員は、首相が森友・加計学園をめぐる問題で説明責任を果たしてこなかったとして、国民の政治不信の高まりを肌で感じている。「首相への不信感が充満している」と明かし、「解散はできない」と言い切った。
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