元組事務所を唐津市が落札 暴力団の再取得阻止
- 政治・経済
- 2019年1月8日
唐津市が暴力団事務所として使われていた土地と建物の競売物件を昨年12月に落札していたことが7日、分かった。暴力団関係者が競売に参加し、再び取得するのを阻止する狙いがある。現行法では不動産競売から暴力団を排除する規制はなく、県警と県弁護士会などが市に働き掛けていた。
佐賀県など地方自治体の暴力団排除条例では、暴力団事務所に使われると知りながら不動産を売買することを禁じている。一方、競売は対象外で、暴力団関係者も入札、落札できる。
県警によると、元事務所は九州誠道会(現浪川会)が「特定抗争指定暴力団」に指定された2012年12月ごろまで、同会系の暴力団が使用していた。それ以降、差し押さえられ、借金返済の肩代わりなどをする県信用保証協会が競売を佐賀地裁唐津支部に申し立てた。
競売に関する情報を入手した県警が、県暴力追放運動推進センター、県弁護士会と協議し、3者で昨年11月、市に協力を要請した。市は12月5日、1086平方メートルの土地と築41年の木造2階建ての建物の入札に参加。緊急に土地を取得する場合に使う市土地開発基金から831万1千円を取り崩し、落札した。一般的な評価基礎額は1640万1千円、競売上の売却基準価額は492万円の物件で、市と市内の不動産業者の2者が入札に参加していた。
唐津市は「再び暴力団関係者が入らないように市民の安全・安心のため、確実に取得できる額を提示した」とし、確かな譲渡先への売却も視野に入れて活用を考えている。物件は市中心部に近い住宅街にあり隣には公園もある。近くに住む80代男性は「以前は公園で盆踊りをやっていたが、暴力団が使うようになってやめた。どうにかしてほしいと思っていた」と安心している。
県弁護士会の民事介入暴力対策特別委員会委員長を務める江崎匡慶弁護士は「競売は制約がなく、暴力団排除の抜け穴がある状況。民事執行法の改正が早期に実現されるべき」と強調した。
一言コメント
買い取った後の用途にも注目だ。
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