「巣ごもり消費」マルタイ好調 九州外でも人気、主力の棒ラーメンなど急伸 福岡
- 企業・経済
- 2020年9月9日
スーパーに並ぶマルタイ製品
新型コロナウイルスの感染拡大が企業業績に影響する中、気を吐く企業もある。即席めん製造・販売のマルタイ(福岡市西区)もその1つ。令和2年4~6月期決算(単体)で、最終利益が前年同期比の約6倍に急伸。売上高とともに、比較可能な平成24年度以降で最高だった。「巣ごもり消費」を追い風に、主力の棒ラーメンや皿うどんが好調だった。長年の課題だった関東地方など九州外での認知度も向上。さらなる成長に向けて攻勢をかける。(九州総局 中村雅和)
4~6月期の売上高は、棒ラーメンが前年同期比66・2%増、袋麺が46・2%増、皿うどんが25・1%増と、委託生産をしているカップ麺を除き、多くの商品で伸びた。昨年6月の値上げ効果もあった。担当者は「外出自粛などの中、家庭で料理する機会が増えたのだろう。そこに、ひと手間加えてさまざまな味わいが楽しめる一連の商品がマッチしたのではないか」と説明し、いわゆる巣ごもり消費の効果と分析する。
好調だったのはマルタイだけではない。即席めん業界大手の日清食品ホールディングスの4~6月期最終利益は過去最高だった。また、「ひと手間」に欠かせない調味料や香辛料を扱うヱスビー食品も中間決算では、5期連続で過去最高益を更新する見通しだ。 × × ×
マルタイによると、売り上げ動向に変化が生じ始めたのは、新型コロナの集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号の動向に注目が集まっていた2月ごろ。製造本部長などを務める吉留郁常務取締役は「2月下旬頃から、徐々に品不足感が出てきた」と振り返る。消費者の即席めんへの需要は高く、通常以上の受注ペースが続いた。4月は月間で最高の売上高を記録した。
福岡、佐賀両県にある同社の2工場では、常時約60種類の商品を製造している。ただ、徐々に品薄感が強まる中、主力の15種類程度に生産を絞った。感染防止対策も徹底し、幸い、工場スタッフに新型コロナ陽性者が発生しなかったこともあり、連日のフル稼働を続け、需要に応えた。
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新型コロナの感染拡大防止のため小売店への訪問など営業部隊の動きはストップしているが、それでも地元の九州はもちろん、関東圏でも売れ行きは好調だ。また、「巣ごもり消費」が盛んになる傾向は、海外でも同様で、台湾や香港などへの輸出も伸びている。
昨年には山岳関係の書籍を手がける「山と渓谷社」から“公認”のレシピ本を出版するなど、知名度アップ策を打っていた。4~6月期の好調な売れ行きは、それ以上に「マルタイ」ブランド強化につながった。
見藤史朗社長は「今回、課題だった関東地方での知名度をアップさせることができたのではないか。今まで接点がなかった多くのお客さまに食べていただいたと思う。裾野は確実に広がった」と手応えを語る。
同社では令和4年3月、佐賀県唐津市に新工場が稼働を始める予定だ。生産能力を向上させ、コロナ禍の中で得たチャンスを最大限生かす考えだ。
一言コメント
こういう絶好調のところもあるんだね。
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